関西主要総合大学の「決算書を読む」

昨日(10月22日)の日経新聞に 「間違えない学校選び、大学決算書を読む、「帰属収入−消費支出」に注目。」という記事が載っていました。学校法人の決算書は学校法人会計に従って作成されますが、財務内容や損益状況は決算書をみてもわかり難いのですが、この記事は大変わかりやすく書かれた記事でした。

高い授業料を払って子供を通わせることになりますので、破綻してしまったら、どうしようもありません。幾つかの指標をみるだけで、概略は判断できますので、是非、ご自分でも経営分析してみてください。また、公認会計士の会計監査の対象となりますので、公認会計士(監査法人)の監査意見が「適正」となっていることも監査報告書で確認しておいて下さい。

関西主要総合大学(関西学院、関西大学、同志社大学、立命館大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学、京都産業大学、神戸学院大学、桃山学院大学、追手門大学)と言われる大学について、記事をもとに2011年度の決算書を分析してみました。

全国の私立大学の決算書は、日経新聞の記事によれば、下記のサイトから入手できるとなっていましたので、下記のサイトを通じて入手しました。

平成23年度学校法人の財務情報等

(1)「利益」の状況

表1

日経新聞によれば、企業会計でいうところの「利益」は、学校法人会計では「消費収支計算書」の「帰属収入合計」から「消費支出の部」を差し引いたものとされています。

関西の主要総合私立大学の2011年度の「消費収支計算書」から、「利益」を求めますと、利益がマイナスとなっている大学があります(上記③)。これは、2011年度は退職給与引当金の会計処理の変更があることが、貸借対照表の注記をみるとわかります。この会計処理の変更の影響(上記※)を除いたものでみるといずれの大学もプラスになっています(上記④ )。

しかしながら、これは退職給付債務の過年度の繰入額の追加計上分であり、次期以降も、新しい退職給与引当金の計上基準に従えば、従来の基準で計上するよりも退職給付費用の増加が見込まれますので留意が必要です。

 

(2)「総負債比率」「基本金」「正味財産」

表2

 

 

①負債比率

日経新聞によれば負債比率が50%超を危険ラインと書かれていますが、いずれの大学も10%から20%前後であり、危険ラインには到達していません。

②基本金、正味財産

日経新聞によれば「基本金」は株式会社の株主資本に相当するとされていますが、基本金と消費収支差額の合計(正味財産)で見た方が実体を表すと思います。関西大学及び近畿大学は基本金が多額にあるとは言え、消費収支差額の累計が各々マイナス415億、マイナス540億であるのは、経営の観点からみれば、問題と思われます。

 

(3)有価証券、外部監査人の監査報告書

表3

①有価証券の含み損益

日経新聞の記事によれば、「「資産」の部の「有価証券」「施設整備資金等引当資産」等「財テク」に走っているケースもあるので注意したい」と書かれています。しかしながら、このほかの××引当資産というような表現になっているものもあり、財産目録をみても何で運用されているかわかりません。

決算書の注記に、有価証券の時価情報が載っていますので、これが一つの判断指標になると思います。上記に有価証券の貸借対照表計上価額(簿価)と含み損益(マイナスは含み損)、資産に占める割合や含み損益が正味財産へ与える影響が判断できるように正味財産を記載しています。

なお、近畿大学と甲南大学については、ホームページには、貸借対照表の注記事項が公開されていませんので、有価証券の時価情報は省略しております。

②会計監査人の監査報告書について

計算書類(資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表、重要な会計方針、その他注記)については外部の監査人が会計監査を実施しており、監査報告書を添付されていますので、当該報告書の監査意見がどのような意見になっているかは必ず確認しておくとよいでしょう。

なお、立命館大学、近畿大学、龍谷大学、京都産業大学についてはホームページには外部の監査人監査報告書が公開されていませんので、監査意見は省略しております。

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